深夜電力-1

最近はオール電化が進み、エコキュートで深夜に温水を作り、翌日これを使う。なんてことが当たり前ですね。

で、深夜電力なんて、昼間の電気代の1/3くらい?だから、夜中は気にせず冷暖房を効かせていたりします。

この深夜電力って、なぜ安いか解りますか?実はこの[深夜電力]は、原子力発電によって受ける事が出来る恩恵なのです。

例えば、昼間100万kwを消費する町があるとします。発電所はその町に電力を供給するために120万kwを出力します。(もっと少なかったかも知れませんが、兎に角余裕を持った電力を供給する必要があります。)もしギリギリの発電の場合電圧降下し、その後町全体が停電してしまいます。

昭和30年代くらいまでは、停電なんて珍しくなかったんです。それくらい日本も電力事情は良くなかった。

話を戻しますが、昼間100万kwを消費する町でも、夜には60万kwしか消費しません。(例えばの話ですよ!夜間は昼間よりも電気を使いません。)

火力発電なら、その変動する需要に応じた供給をするだけで良いので、夜間は75万kw程度の供給で済むのです。つまりそれだけ燃料費は安くなる。

でも、これなら深夜に電気代を下げると損ですよね?

原子力発電の場合、昼間の需要に応じて120万kwを発電していたものを、夜間に75万kwまで下げる事が出来ません。加速が遅くて停まりにくい大型トレーラーのようなものです。

原子力発電は、昼と夜の発電量をあまり変える事が出来ない為、夜間に使われなかった電力は消滅してしまいます。

この電力を回収する為に、[揚水発電]があります。揚水発電とは、水力発電所で発電に使われた水を夜間にダム湖に揚げて、翌日また発電に利用する方法です。

しかしそれだけでは、消滅する電力を有効に利用することが出来ません。

そこで、「どうせ捨てるものならば」と夜間の電気代を下げて、一般家庭に使ってもらおうという発想から普及したのです。

つづく

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