デビュー戦—1

若い頃、段ボール製造会社に勤めていたことがあります。

定型(例えば1350W×2050L)の段ボールシートを印刷機にセットすると、そのシートが次々と印刷機へ吸い込まれて行く。

シートは印刷されて同時に罫線とスリットが入れられて、印刷機から出て来る。

印刷後のシートはコンベアを通ってパレットに積まれて行くが、稀にこの工程で、シートがコンベアからパレットに移る瞬間に裏返ることがある。

次の工程が製函機。ここでシートの糊代が糊付けされ、折り畳まれて段ボール箱の出来上がり。

万一、裏返った箱が1枚でも紛れ込んでいたら、客先で製品を詰めて4段・5段とパレット積みされた中に、無地の箱が並ぶことになる。

このような事故が2~3ヶ月にたった1個出ただけで客先は激怒し、段ボール会社に対し「全数検査」を求めてきます。

たった1個のミスのために、事務所職員7~8人が総出で毎日3時間程度サービス残業でチェックを余儀なくされるわけです。

当時社長から私に下された命令が、「人が検査をするのではなく、製函工程で裏返ったシートを検知するシステムを作れ!」でした。私が24歳の時でした。

つづく

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